M.O.Sの特長である一気通貫サービスを余すところなく活用し、事業領域を順調に拡大しているのが、新進の情報技術開発企業・TDIプロダクトソリューション(本社・神奈川県横浜市)です。
M.O.Sの導入開始以降わずか2年弱で、画像検査装置の量産と輸出という新事業を確立し、売上は導入以前の130%に達しました。
三雅産業に、設計以外のすべてをアウトソーシング
TDIプロダクトソリューションは、半導体技術を使った組み込みソフトの開発を得意とする、TDIグループの1社だ。設立は2010年。センサー技術を使ったビニールハウス用遠隔監視制御システムをはじめ、話題の新製品を次々に発表している成長株だ。
「当社の基幹業務は、開発設計です。それに付随して装置の試作品をつくることはあるものの、量産は行っていませんでした。ところが3年ほど前、海外向けに開発を進めていた画像検査装置を量産してほしい、という依頼が米国企業からあったのです」
同社へのM.O.S導入の経緯を、代表取締役社長の廣田豊氏がそう切り出す。
「それまでは、部品1つ1つを開発担当者自身がWEBサイトなどを利用して取り寄せていましたが、量産となるとそうはいきません。数百種類にも及ぶ部品の発注や納期管理、製造委託……と、とても手が回りません。本来業務にも支障をきたしかねないので、パートナーを探し、そこで行き当たったのが、三雅産業さんでした。WEBサイトには、部品の在庫や組み立ての手配などすべて任せてください、と」
すぐにコンタクトをとり、約半年間をかけて協議した結果、部品の調達から在庫管理、製造までを一気通貫で委託することとなった。
とはいえTDIプロダクトソリューションは、最初から三雅産業に決め打ちしていたわけではない。当然ながら、ほかにも数社、パートナー候補があったという。では、三雅産業をパートナーに選んだ理由とは?
「何より、在庫を買い取って管理してくれる、という言葉が響きました。もちろんそれだけでなく、幅広いネットワークからすぐに製造会社を提案してくれたこと、しかも、こちらの要求を満たすことができなかった時は、すぐに切り替えて決断する経験値の高さや実行力にも感心しました」
廣田社長の言葉を受け、制御システム事業部FA制御システム部部長の武井信二郎氏は、三雅産業の「目利き」能力を高く評価する。
「実は、最初に紹介を受けた製造会社から上がってきた試作品の品質に、満足できなかったんです。同行していた三雅産業の支店長も、認識を同じくしてくれていて、すぐに新たなパートナーを見つけてきてくれました。やはりネットワークが広いからできたのでしょう。今度は非常に順調で、生産管理体制を含めて今は円滑にまわっています」
廣田社長や武井部長から、明確に変更希望を伝えられる以前にそれを理解した担当者の現場感覚も、両者には心強く映ったようだ。
「パートナーを自ら探す苦労がゼロ」
2016年春、量産体制が整い本格稼働した。2年近くたった今、M.O.S導入の手応えを、どう感じているのだろうか。
「まず部品の調達に関しては、圧倒的にラクになりました。このセットを用意して欲しいと伝えるとすぐに手配してくれるし、入手しやすいパートナーも手配してきてくれる」(廣田社長)
「三雅産業さんが紹介してくれた製造会社では、当社の製品の担当メンバーを固定し、自発的に勉強してくれます。実際に動作確認までしてくれ、品質に関して、安心しています。過去に我々も委託先を探したことがありますが、このように安心して任せられる製造会社はなかなか見つからず、本当に苦労していました」(武井部長)
調達やメーカーの選定、教育に割いていた手間が軽減したことで、本業である設計に人員や労力を集中させられる点が非常に大きなメリットだと、両者は口をそろえて言う。
「当社のような会社は、設計しなければ事業が止まってしまいます。だから、設計に集中できることが本当にありがたい。三雅産業さんのおかげで、今は次の製品の設計に着手しています」
ファブレスメーカーへの転身を強力サポート
肝心の収益面ではどうだろう。数値目標の達成率や人件費の削減率など、具体的な数字に表れているだろうか。そう尋ねると、「クライアントの希望に応えることができたという点で、すでに目標達成です」と、廣田社長が明言する。
「3年前にクライアントである米国企業から打診が来たとき、どうやって応えるか、正直に言って、頭を抱えた面もありました。でも、三雅産業さんの協力もあって、今では年間約150台の大型装置を輸出するまでに事業が拡大したのです。それに伴い、業績も伸びました。この事業を立上げことにより、売上は前年比30%増です」
高品質な製品が高く評価され、TDIプロダクトソリューションに対する米国企業からの信頼も高まっている。「今後は受注範囲の広がりも期待できる」と、廣田社長は話す。「ともすると、一方的に要求をもらう縦の関係になりがちでしたが、今ではパートナーとして、対等に交渉できるようになりました。スタッフも米国に常駐しています。今後はもっと高い付加価値をつけて事業を拡大していく予定で、これが実現すれば、売上が今年度比1.5倍に上る試算です。三雅産業さんとは、これまで以上に協働していきたいですね」
輸出という新規事業が軌道に乗り、同時にファブレスメーカーとしての機能が確立したわけだ。
ともに知見を広げていくwin-winな関係
新規の輸出事業が好調に進む現在、TDIプロダクトソリューションにおけるM.O.Sの領域も徐々に拡大しているという。
「画像検査装置から協業体制がスタートし、委託範囲は徐々に広がっています。こうした装置は部品の種類も多く金額も大きいのですが、三雅産業さんなら1枚の発注書で済むので、現場も非常に助かっています」
そう話す武井部長は、輸出品の梱包に関しても、三雅産業への委託を検討しているという。「何かトラブルが発生した場合にも、リカバリーがとても早く、パートナーとの間に入って的確な対応をしていただいています」とも。
こうした、M.O.Sならではの行き届いたサービスにより、三雅産業は委託開始から2年にして、TDIプロダクトソリューションのベストパートナー企業に2年連続で選定された。「当社の目標達成に対する貢献度が、一番高かった。大切なパートナーです」と、廣田社長が太鼓判を押し、さらに期待を込める。
「ぜひ今後も、優れた部品調達力を存分に発揮していただき、たとえば、部品の代替品や輸出向け部品の領域でさらなる提案を期待したいですね」(廣田社長)
事業拡大に伴い、ニーズも増えているようだ。
「TDIプロダクトソリューション様のおかげで、製品実現プロセスの知見が、さらに広がっております」
そう話すのは、三雅産業神奈川支店長の内藤宏だ。廣田社長や武井部長らの要望に応えることが、M.O.Sのサービス領域の拡大につながると確信している。
TDIプロダクトソリューションと三雅産業。両者のwin-winなパートナーシップは、変革期を迎える日本の製造業に、新しい可能性を示しているといえそうだ。
- ※:掲載情報(企業情報・部門名・お役職名などを含む)は、初版制作時のものです。
TDIプロダクトソリューション株式会社
http://www.tdips.co.jp
本社所在地:
〒222-0033
神奈川県横浜市港北区新横浜二丁目5番地5 住友不動産新横浜ビル7階
設立:2010年(平成22年)4月1日
資本金:5,000万円
業種:情報サービス業